スタッフの取材日記

京都の取材日記 4月号

三代目 桜守 ─ 佐野藤右衛門 ─

三代目 桜守「佐野藤右衛門 」

桜守という言葉をご存知ですか?
桜の木の声に耳を傾け、各地の名木を守り続ける「桜のお医者さん」です。
三代目桜守を受け継いだ佐野藤右衛門さんは、桜と心を通わせ、桜を通して自然や生活環境の変化、日本人の心の変化を見続けてきました。 

■ 桜守の仕事 ■
「人が桜を愛でるのはほんの数日やけどな、桜はそれ以外の季節も花や実のためにエネルギーを蓄えて、成長しようとしとるんです。そして、日光、土、水、鳥、虫、周りの木・・・どれか一つとの関係が壊れただけで、弱って枯れてしまったり、自生できなくなるんですわ。桜の声に毎日耳を澄ませて、周りの自然にも目を配らなあきまへん。そうして桜が寿命を迎える日まで手塩にかけて守り続ける・・・この仕事に必要なんは、なによりもまず桜への愛情です。春になって、つぼみがふくらんできた状態を『笑いかけ』と言いますが、わしは桜がやさしく微笑むこの瞬間がいちばん嬉しいんですわ」

■ 円山公園の枝垂桜 ■
「この枝垂桜は、わしの親父が命がけで守った桜ですわ。先代の桜が寿命で枯れた時、親父はその種子から育てていた若い桜をここに植え替えたんです。京都市の命令で親桜と同じ場所に植えなあかんかってんけど、実はこれが良くない。桜は連作に向かへん木です。なかなか花をつけへんかった・・・『ひんそうな桜やな』と陰口を言われながら、親父はこの桜を毎日のように世話して、ジェーン台風が来た時には、ずっと木にしがみついて幹をささえたんです。ほんま、命がけやったと思います。その後、だんだんと花をつけるようになって、今では見事な花を毎年咲かせてはる。たくさんの人に見てもろうて桜も親父も喜んでると思います。当時の親父の苦労を知ってる人はほとんどいはらへんけど、桜が一番よう知ってるはずですわ」

■ 花見のマナー ■
「酔っ払って桜の根元に酒をこぼしたり、立小便するのはよろしい。土の栄養になりますから。しかし、ビニールシートはあきまへん。桜が呼吸できないんですわ。空気を通すゴザがよろしおす。根を痛めるハイヒールや、振動を伝えるカラオケも桜が嫌がります。桜も人間も、同じ世界で呼吸する生き物。ちょっとした配慮と、桜と対話する気持ちを持って花を愛でてほしおすな」

※一部桜特集2007と重複致します。

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