
建仁寺は、京都を代表する日本最古の禅寺です。鎌倉時代の一二〇二年(建仁二年)の開創で、寺名は当時の年号から名づけられ、約八百年の歴史があります。
風神雷神図(国宝)でも有名な建仁寺ですが、約五年前に建仁寺開創八百年を記念し、天井画「双龍図」が日本画家小泉淳作氏によって描かれました。大きさは縦十一・四メートル、横十五・七メートル(畳十八枚分)あり、丈夫な和紙に、「程君房」といわれる墨を使用して描かれています。製作は北海道中札内村にある小学校の体育館で行われ、構想から約一年十ヶ月の歳月をかけて完成し、二〇〇二年四月十四日、山内の僧衆によって開眼法要が行われました。
龍は仏法を守護する存在として、禅宗寺院の法堂の天井に幾度か描かれてきました。また、「水の神」ともいわれ、修行僧に仏法の教えの雨を降らせると考えられています。しかし、建仁寺が鎌倉時代に建立されてから最近まで、法堂の天井には何も描かれておらず、素木のままでした。したがって、双龍図は創建以来、建仁寺はじめての天井画となったのです。
通常の雲龍図は、仏法の神格である龍が一匹だけ描かれることが多いのですが、この双龍図は二匹の龍が天井一杯に絡み合う躍動的な構図を用いています。そして、二匹の龍が争うのではなく、共に協力して法を守る姿が、小泉画伯の重厚かつ独特の水墨世界観で表現されています。
数々の宝物に包まれた幻想的な佇まいは、こころ安らぐ情景となるでしょう。