四条烏丸から南へ徒歩5分の地にある平等寺。
通称「因幡堂、因幡薬師」と呼ばれ、千年以上もの間、移転することなく現在の場所にあります。
お寺としての役割を仏教の布教活動だけに留めず、歌舞伎や浄瑠璃などの娯楽を提供する場所としても、古くから人々に親しまれてきました。
この因幡堂で、狂言の演目「因幡堂」を観る会が開かれます。
「狂言の曲目に、実在の寺の名前がそのまま使われる」ということは他に類例がなく、ストーリーの中で出てくる因幡堂の話が本当の因幡堂で演じられる機会は、年に一度この日だけ。
歴史とロマンを感じさせる、贅沢な会場設定です。
2008年の演目は、「貰婿(もらいむこ)」と「因幡堂」の2曲。
「貰婿」では、人間国宝の狂言師・茂山千作氏が出演。舅役の千作氏と、婿役の千五郎氏との親子共演が見所のひとつです。
「因幡堂」では、茂山千之丞氏が男役を演じます。
万人に愛される芸能として育まれてきた茂山千五郎家の狂言が、因幡堂という舞台でさらに身近なものに感じられるでしょう。
2曲の上演後、座談会も予定されています。
■「因幡堂」のあらすじ
大酒飲みの妻に愛想を尽かした夫。 たまたま里へ帰った妻に離縁状を送りつけ、新しい妻を得ようと因幡堂の薬師如来に願掛けのお籠りをする。 そこへ腹を立てた前妻がやってきて、「西門の階に立った女を新しい妻にせよ」と偽のお告げをして去る。 目を覚ました夫は薬師如来のお告げと思い込み、喜んで西門に向かうのだが・・・。
中世庶民の因幡堂信仰がうかがわれる狂言です。 たくましく「わわしい女」と、気弱な夫の対比が笑いを誘います。