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京の桜を愛でる 2008
三代目「桜守」佐野藤右衛門
桜守という言葉をご存知ですか?
桜の木の声に耳を傾け、各地の名桜を守り続ける「桜のお医者さん」です。
三代目桜守を受け継いだ佐野藤右衛門さんは、桜と心を通わせ、
桜を通して自然や生活環境の変化、日本人の心の変化を見続けてきました。
京都の桜を愛でるとき、是非、この藤右衛門さんの言葉を思い出してみてください。
「写真:嵯峨野佐野藤右衛門邸の桜園」
佐野藤右衛門さんの言葉
- ■桜守の仕事
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「人々が桜を愛でるのは花の時期だけかもしらんけど、
それ以外の季節も桜は花や実のためにエネルギーを蓄え、成長しようとしとるんです。
そして、周りの自然と共に生きとる。
日光、土、水、鳥、虫、周りの木々・・・自然との関係が壊れれば、桜が弱って枯れてしまったり、
自生することができなくなるんですわ。
日々の桜の声に耳を澄ませて、周りの自然にも目を配る。
そうして桜が寿命を迎える日まで手塩にかけて守り続ける。
この仕事に必要なんは、何よりも桜への愛情です。
春になり、つぼみがふくらんできた様子を『笑いかけ』といいます。
やさしく微笑んでいるようでしょう。わしは、そのときが一番嬉しい。
この瞬間があるから桜守をやめられへんのです」
- ■祇園・円山公園の枝垂桜
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「この円山公園の枝垂桜は、わしの親父が命がけで守った桜や。
先代の桜が昭和22年に寿命で枯れてしまった時、親父はその種子から育てていた若い桜をここに植え替えた。
京都市の命令で親桜と同じ場所に植えたわけなんやけど、実はこれが桜には良くない。
そもそも桜は連作に向かへん木や。
土を総入れ替えしたけど、春になっても花はつかんかった。
そうすると、先代の桜のイメージが頭に残ってる人たちは「ひんそうな桜やな」と陰口を言うんです。
親父はその桜を毎日のように世話して、大きな台風が来たときには、木にしがみついて幹をささえたんですわ。
あん時は、ほんまに命がけやったと思う。
その後、だんだんと花をつけるようになり、今では毎年見事な花を咲かせてはる。
たくさんの人に見てもろうて桜も親父も喜んでるやろな。
当時の親父の苦労を知ってる人は何人もいはらへんやろけど、桜が一番よう知ってるはずやわ」
- ■花見のマナー
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「酔っ払って、桜の根元に酒をこぼすのはよろしい。
立小便しても、ヘドを吐いても、土の栄養になるからええでしょう。
しかし、ビニールシートはよろしくありません。
桜が呼吸できなくなります。花見にはゴザを持っていくのがよろしい。
振動を伝えるカラオケや洋楽器、根を痛めるハイヒールもあきません。桜が嫌がります。
焼肉をすれば、油の粒子が花や幹についてしまいます。
桜も人間も、同じ世界で呼吸する生き物。
自然と対話する気持ちを持って花を愛でてほしおすな」
- 【佐野 藤右衛門】
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1928年、京都市生まれ。
植木職人として仁和寺御室御所に仕えてきた「佐野藤右衛門」を襲名し、当代で16代目。
祖父にあたる14代目の藤右衛門が創始した「桜守」を受けつぎ、当代で3代目。
現在も造園や桜植栽の仕事で世界を回り、国内外の名桜を育てています。
京都だけでも、円山公園、蹴上インクライン、半木の道、仁和寺の御室桜など、よく知られる名桜を手がけています。
1997年には、故イサム・ノグチ氏デザインのユネスコ日本庭園(パリ)を手がけた功績で、ユネスコのピカソ・メダルを授与されました。
1999年には、勲五等双光旭日章受賞。
- 【本の紹介】
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桜のいのち 庭のこころ (単行本・草思社)
櫻よ―「花見の作法」から「木のこころ」まで (文庫本・集英社)
木と語る (単行本・小学館)
さくら大観 (大型本・紫紅社)
他多数