
山と渓谷が織り成す風光明媚の地「八瀬」は、平安時代の昔より、貴族や武士に愛された保養地でした。
その八瀬にあり、高野川のほとりにひっそりとたたずむ「瑠璃光院」。
2005年より、季節限定で一般公開されるようになりました。
格調高い数奇屋造りの建築は中村外二、庭園は佐野藤右衛門一統の作と伝わります。
三条実美公が命名した茶庵「喜鶴亭」の前に広がるのは、「臥龍の庭」。
今、まさに天に駆け昇ろうとする龍が水と石で躍動的に表現されており、秋には紅葉が華やかさを添えます。
もうひとつの庭園「瑠璃の庭」は、瑞々しい苔の絨毯で覆われ、その間を縫うようにして、せせらぎが優美な曲線を描きます。
苔の上には、覆いかぶさるようにして枝を伸ばす紅葉の木々。
異なる種類のカエデが組み合わされているため、黄・橙・桃・紅色などの色に移ろいながら、日々変わり行く表情を見せてくれます。
そこにあるのは、言葉の表現を越えた錦秋の世界・・・。
書院に座り、感覚を研ぎ澄ませていると、景色が心の中に染み渡っていくような心地がします。
この「瑠璃の庭」では、ある気象条件が整うと「瑠璃色に輝く浄土の世界」が現れると言い伝えられています。
それは、自然が織りなす色あわせを心に移し、自身と深く向きあったときに垣間見える世界なのかもしれません――。