今、伏見で最も注目される酒蔵のひとつ、藤岡酒造。
手作りにこだわり、少量生産で「蒼空(そうくう)」という銘柄のお酒を造っているのは、
5代目の蔵元であり、杜氏でもある藤岡正章さんです。
実はこの藤岡酒造、先々代の不幸によって1994年に酒造りをやめてしまったのですが、
「再興して、もう一度酒を造りたい」という藤岡さんの想いで、2001年に再開した酒蔵なのです。
再開のため各地で酒造りの勉強を重ねていた藤岡さんの心には、追い求める「理想の酒」がありました。
廃業する年に仕込んだ最後のお酒 ―― 前年までとは違う新しい杜氏さんに、
その廃業の年だけ造ってもらったお酒 ―― そのお酒に衝撃を受けたのです。
「杜氏が変わるだけで、どうしてこれほどまでに酒の味が変わるんだろうか。
一生忘れられないあの味・・・あれを超えるお酒を造りたい」
その情熱をお酒に注ぎ込んで、たった4本しかない仕込みタンクで少量ずつお酒を造っています。
お酒を造ることに真摯だからこそ、手作りにこだわり、純米のお酒しか造りません。
搾り方にもこだわり、時間と手間のかかる「ふねしぼり」を受け継いでいます。
そして「お酒を楽しんでもらう方法」にもこだわった結果、「酒蔵Bar えん」の開店となったのです。
この酒蔵Bar、なんと仕込みタンクの目の前に設置されています!
ふつふつと発酵が進むお酒のタンクをガラス越しに眺めながら、甘い香りとやさしい音楽に包まれる。
そして、酒造りに想いを馳せる ― ここにしか無い楽しみ方ができます。
蒼空 純米大吟醸酒 480円
今回いただいたのは、「蒼空 純米大吟醸」。
なんだか春を思わせるような吟醸香 ―― 口に含むと、なめらかな旨味が広がりました。
味のバランスがとても良く、舌に残る余韻もまったりとした心地よさ。
お酒の味にも、酒蔵Barの雰囲気にも、造った人の人柄が感じられるようで心からリラックスできました。 伏見に隠れ家をひとつ見つけた気分です。
ここでは、各種「蒼空」のほか、軽いおつまみや酒饅頭もあります。
ひとりで気軽に楽しむのもよし、大切な人と行くのもよし、友人と語り合うのもよし。
お酒の直売コーナーもありますので、気軽に立ち寄ってください。
蔵の内部見学も可能です。
麹室、ふねしぼりの機械、仕込み中のタンクなど、説明とともに見せていただくことができます。
写真からも判るように、まさに発酵中のタンクのすぐ向こう側が酒蔵Barのカウンターなのです。
ただし、藤岡さんが酒造りの合間に案内してくださるため、手が空く時間のみ受付けています。
事前に電話にて可能かどうかお問い合わせください。
特に冬場は仕込みの最盛期のため、受け付けられない場合がありますのでご了承ください。
5代目蔵元
藤岡正章さん
「お酒への想い、酒造りのこだわり・・・それはもう並々ならぬ気持ちを持っていますよ。
蔵元として、杜氏として、これは当然だと思います。
さらにもうひとつ、私がどうしてもこだわりたかったのは、『顔の見える商売』です。
今まで、酒造会社は造る事に一生懸命で、売ることに関しては酒屋さんに任せていた部分が大きいんです。
でも、それでは勿体無いし、時代も変わりました。
私はお客さんの顔を見たいし、お客さんにも造った人の顔を見てもらいたいんです。
直接お話しできて、お酒の楽しさと美味しさを伝える場所を作りたかったんですね。
ですから、お酒造りの勉強をしているときから、この「酒蔵Bar えん」の構想はずっと頭に描いていました。
酒蔵が目の前に見えて、心地よくお酒を楽しめる空間・・・
今では、遠くから来ていただく常連さんもいらして、とても嬉しいです。
お客さんの意見を直接聞くことができますから、いろんな発見もあって面白いですしね。
実は、酒蔵Barと言いながら、今は夜の営業をしていないんです。
まだそこまで手が回らないので、ゆくゆくは営業したいんですけれど・・・
今のところは月に一度、料理屋さんの知り合いに頼んで、酒と料理を楽しむ会を催しています。
興味のある方がいらしたら、ぜひ電話でお問い合わせください」
「ところで、無濾過の出来立てのお酒は、何色かご存知ですか?
・・・淡いグリーンなんですよ。
月日が経つと、茶色っぽく変わっていきます。
その色も楽しんでいただきたいので、ウチは透明の瓶にこだわりました。